経営者団体の会合に参加した時のこと。
自治体から招かれた商工業関係部局の部長が、地元の経済・産業界を取り巻く状況についての講演を行ないました。
少子高齢化、労働人口の減少、若者たちの流出、新規採用者の定着率低下…厳しい言葉が並びます。
パーティーに先立っての講演だったので、部長さんは「できるだけ明るいお話にしたかったのですが」と、いささか申し訳なさそうな様子でした。
これからの人口減少社会。私が職業にしている障害者福祉や、福祉専門職として目指す“障害者の自立”などは、どのように関係していくのでしょうか?
社会を維持するためには、労働人口が足りなくなる分、多様な労働力を活かさなければなりません。
女性や高齢者の積極登用が叫ばれていますが、同様に、障害者への労働力としての期待も高まるでしょう。
障害者が福祉の担い手に
労働人口の減少は、福祉に従事する人材の減少でもあります。
このため、福祉的な支援において、効率化や合理化、機械化が進むと思われます。障害者のコミュニケーションを円滑にするスマートフォンのアプリや、介護労働をアシストする機械などが実現していますが、今後は性能が向上するでしょうし、安価になれば普及も進みそうです。
労働力としての障害者への期待の高まりと、福祉支援の合理化や機械化を考え合わせれば、障害者が福祉の担い手になるという将来像が浮かんできます。
障害の軽い人が、重い人を支援する。自立している人が、自立していない人を支援する。高齢者や児童、困窮者を支援する。支援する障害者を健常者が補助する。支援する健常者を障害者が補助する。…さまざまな可能性が考えられます。
話が明るくなるかどうかはさておき、人口減少社会において、障害者にいっそうの社会進出が求められることは確かでしょう。それがGDPにどれほど貢献するのかは分かりませんが、社会の意識や価値観には少なからぬ変化をもたらすような気がします。
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