天竺堂の本棚小説

植民地主義の暗部 浮き彫りにするファンタジー 『バベル』(上・下)

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『バベル』(上・下)

 アヘン戦争前夜のイギリスを舞台にした歴史ファンタジー。

 中国・広東に生まれた主人公は、語学の才能を見出され、英オックスフォード大学の王立翻訳研究所「バベル」の学生となる。
 本書の世界には、言語間の意味の差異みたいなものが魔力を生むという設定があって、道具や乗物、建築など大小さまざまな社会インフラに魔法が活用されてる。バベルでは各国から集められた英才たちが最先端の言語研究を進めており、それは大英帝国の繁栄を支える魔法の源泉でもある。
 大学生活を謳歌していた主人公はやがて、自分がバベルで学び続けることが、実はイギリスの植民地支配への加担であり、祖国への裏切りにつながってしまうと気付き、苦悩する。
 植民地主義がもたらす諸問題(経済的搾取とか人種差別とか)が、バベルというファンタジー要素によって浮き彫りに。

 前半は『ハリー・ポッター』っぽいのに、後半は『男組』(!?)みたいな。ゴンゴン苛烈になっていく展開に驚かされること必至です。

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