ビジネス天竺堂の本棚

社会に増殖する 無価値な業務 『ブルシット・ジョブ』

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『ブルシット・ジョブ』

 地面にスコップで深さ1メートルほどの穴を掘り、それを埋め戻すという作業を繰り返し、高い賃金がもらえるとしたら、やるだろうか……と自分に問うてみる。
 バカバカしいことであっても、貧しさに苦しんでる状況だったら分からない。どれだけ困窮したら、どれだけお金がもらえれば、私はスコップを握るだろう?

 本書が指摘する「ブルシット・ジョブ」は、働いてる当人が価値を見出せず、なのに価値がありそうなフリをして渋々働いてる、不毛な仕事のこと。
 サービス業の接客や広報、組織の中間管理職などに多いそうな。

 産業が複雑化・多様化していく中、誰の何の役にも立たない業務が生まれ、仕事として存続するようになった。
 ITやAIやロボットが普及しながら、私たちの労働時間は減らず、ブルシット・ジョブが増殖してるという、この奇妙な現実。

 本書で興味深かったのは、「ブルシット・ジョブに従事する人々の多くが、無価値と分かってるのに、いかにも重要そうに、大義そうに、忙しそうに振る舞おうとするのは何故?」との考察。
 私たちの労働観の根底には、「苦行に耐えてこそ成長する」「すべての仕事は尊い」みたいな宗教的な価値観がある。そいつが、ブルシット・ジョブへの批判的な考えとか、「くだらないから手を抜こう」みたいな判断を抑制するらしい。
 無価値な仕事を強いられる自分を認めたくないという自尊心も、作用してるかも知れない。

 ブルシット・ジョブを無くす方策として、著者はベーシックインカムを挙げる。
 一定の収入があれば、誰もが「こんなくだらない仕事、辞めてやる!」と決断しやすくなるだろうと。

 穴を掘るんだったら、木を植えるとか、化石を探すとか、有益なことにつなげたいですよね♪

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