天竺堂の本棚 ドライな死生観 戦国忍者の闘い 『忍びの国』 忍者って、超能力者かミュータントかというド派手なものから、農民以上盗賊未満ほどの地味なものまで、いろんな描かれ方がある。 戦国時代に忍者と武士が激突した「天正伊賀の乱」を扱ってる本書では、登場する忍... 【続きを読む】 2020.10.08 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 巨大マンション 弱肉強食の空間に 『ハイ・ライズ』 J・G・バラードによる、純文学みたいなSF。 英ロンドンの郊外に建てられた、40階建て1000戸という巨大な分譲マンションが舞台。内部にはスーパーマーケットやプール、レストラン、学校などが整備されて... 【続きを読む】 2020.09.24 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 空気感や心情 学生時代がよみがえる 『四畳半神話大系』 人生も半世紀を過ぎたというのに、過去にしでかしたアレコレの思い出に、しばしば悩まされる。 もう関係者は忘れていて、ウジウジこだわってるのは私だけなんだろうけど、どうにも頭から離れない。このまま長期記憶... 【続きを読む】 2020.09.14 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 英国版の令嬢戦隊? アベンジャーズ娘? 『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』 英ビクトリア朝のロンドンを舞台にした“スチームパンク”作品群のひとつ。 主人公はジキル博士の娘で、これにハイド氏の娘(つまり異母妹)と、モロー博士の娘、フランケンシュタイン博士の娘、ラパチーニ教授の... 【続きを読む】 2020.08.29 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 史強に嫁を見付けてほしい 『三体2 黒暗森林』(上・下) 話題のSF巨編、第2弾。 地球侵攻の壮大さとか、面壁者と破壁人の頭脳戦とか、未来社会の変わりようとか、宇宙社会学の興趣とか、読みどころがテンコ盛り。 ページをめくる手が止まりませんでした。 それは... 【続きを読む】 2020.08.24 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 家庭人を目指す 凄腕の殺し屋 『AX』 伊坂幸太郎の連作短編集。 主人公は凄腕の殺し屋、通称「兜」。普段は平凡なサラリーマンとして、妻子と暮らしてる。 何故か兜は恐妻家で、妻の機嫌を損ねないよう、家庭では常に細心の注意を払ってる。深夜に... 【続きを読む】 2020.07.28 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 高度資本主義社会で 踊り続ける人生 『ダンス・ダンス・ダンス』 降りかかる火の粉を払いながら歩いていくのが人生だと個人的には思ってる。 本書の表現では、踊り続けるのが人生らしい。ただひたすらに。 作中で何度も言及される「高度資本主義社会」においては、雑多な案件が... 【続きを読む】 2020.07.10 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 犯罪者たちの奇縁 新幹線で交錯 『マリアビートル』 東北行きの新幹線に、犯罪業界の連中が乗り合わせる。 有名なプロフェッショナルだったり、無名の元プロだったり、売出し中のルーキーだったり、未完の大器(?)だったり。みんな目的はバラバラだけど、無自覚な奇... 【続きを読む】 2020.06.23 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 “主役”はオマエ 熱く鼓舞する物語 『アルケミスト』 学校あたりでは「将来へ夢を持とう」「やりたいことを見付けよう」「ひたむきに頑張ろう」なんて子供に諭したりする。無益とは言わないけど、幸福や栄達を確約するものではない。 半世紀ほど生きてきた経験上、夢と... 【続きを読む】 2020.06.17 天竺堂の本棚小説