ようやく読書にかかります。
読もうと思い立ってから、実際にページをめくるまでに数カ月。趣味的に無理なく進めようと意識してみたところ、このようなペースになってしまいました。
私が選んだ光文社版『純粋理性批判』は、段落ごとに、通し番号と小見出しが付けられています。段落の中にも、適宜改行が入っています。
本書冒頭の「凡例」によると、これらは邦訳を担当した中山元氏が独自に行なったものであるようです。
以前「その2」で触れた、読書猿さんがブログで紹介している「読書の杖」…段落ごとの内容を自分なりに要約するという手法。すでに光文社版には、この“杖”が用意されているのです。
「これならば読み通せるかも…」
また、本書第1巻は「序論」から始まっており、先立つはずの「序文」が後回しになっています。
この点についても、「凡例」によると「『アプリオリな総合命題の可能性』というカントの問いの核心となる問題の考察から、読み始めてほしいと思ったためである」。訳者の意図が反映されていることが分かります。
本書は7巻ものボリュームです。
このボリュームの大きさは、訳者による内容解説によるもの。ちなみに第1巻は、全体の3分の1を解説が占めています。
つまりは、副読本が一緒になっているようなものですね。
この光文社版には、訳者の「立ち止まることなく、挫折することなく、読み進んでほしい」と言わんばかりの意思がみなぎっており、そのための工夫が随所にほどこされているようです。
緊張しつつページをめくり始めた私も、「これならば読み通せるかも…」と肩の力を抜いたものでした。