お笑いコンビ「髭男爵」のツッコミ役・山田ルイ53世が、世間に“一発屋”として認知されてる芸人たちを取材したルポルタージュ。
著者自身が一発屋だけに、毀誉褒貶を味わい尽くした者同士だからこそ訊けること、書けることが期待されてるはずで、そこを意識してキッチリ押さえてる印象。
とは言え、相手と馴れ合いにならないよう努めてる姿勢がうかがえ、ドライな視点と距離感でもって、一発屋の悲哀ばかりか、個々人の弱さや卑しさまでをもあらわに。
なかなかに読ませるぞ。
芸能界の片隅で生き続けるしぶとさやしたたかさなど、ポジティブなところにも光を当ててるので、読後感はさわやか。
充実した内容に加え、著者は文章も巧い。
豊富なボキャブラリーが支える、大げさな比喩表現や、ブラックなツッコミなどが利いた文章は、水道橋博士や大槻ケンヂに通じる面白さ。
続編が出るのかは分からないけど、これからの著作にも期待したいです♪