片岡義男の連作短編集。初期の名作。
1970年代のアメリカにおける、さまざまな人生の形。
登場するのは、長距離トラックの運転手、荒野に建つカフェの女店主、酒場を渡り歩くハスラー、地方を巡業するロディオ・カウボーイ…などなど、全14話。
半生を俯瞰するような内容もあれば、ある短い場面を切り取ってるものも。著者自身とも思える無名ドライバーが登場する話もある。
ドライで淡々とした筆致が、かえって彼らのたたずまいや、彼らが生きる北米大陸の風土を、リアルに浮かび上がらせる。
ナレーションを排した、飾り気のないドキュメンタリー映像みたいな印象。
情景描写の重なりから、登場人物たちが抱える“孤独”がにじみ出る。
中でも5話目、貨物列車に忍んで各地をさすらう、「ホーボ」と呼ばれる放浪者たちの生涯には、ロマンと寂寥感が混ざり合ったような、奇妙な感動を覚えました♪