伊丹十三のエッセイ集。
自分の内面や身辺についての、やたらと細かい観察とか。実話ともホラ話ともつかない、インタビューや座談会っぽい小文とか。ペーソスあふれる掌編小説(風)…などなど。
内容も表現も多種多彩。
深い教養をうかがわせつつ、ベタな庶民感覚にも通じてる。その絶妙なバランスでもって読ませます。
こんなネタ、こんな文章、こんなノリの雑文って、今では決して珍しくはない。
だけど、“伊丹以前”には存在しなかったらしい。たくさんフォロワーを生んだのだろうなぁ…と感心させられる。
映画監督や俳優としても活躍したこの才人が、不倫報道を苦に自殺したなんて、何だかカッコ悪くて意外。
ヤバい筋による謀殺とのウワサも。それだけ「信じられない」「信じたくない」と思う人が多かったということでしょうかw