南米アマゾンの奥地に住む、特異な言語を操る少数民族「ピダハン」についてのノンフィクション。
著者はキリスト教の伝道師。
大学で言語学などを修めており、聖書をピダハン語に翻訳して布教を図る。
ところがピダハンたちは、自分が直接見たことしか語らないし、直接見てきた者の話しか信じない。徹底的なリアリストであり、それに基づく独自の価値観や文化を持っていた。
ピダハン語には、昔の言い伝えを表現するための言葉が無かった。そのため、どの民族にもあるとされていた創世神話も無かった。
布教は失敗。
生きてるイエスを直接見たことがある者など、現代にいるはずがないから。いくら熱心に教義を説いても、ピダハンたちは相手にしてくれなかったそうな。
この挫折を経て、著者は無神論者になってしまう(!)。
文化人類学的な報告としても、かつて伝道師だった者の述懐としても、何とも刺激的で味わい深い一冊です♪