罪なき人命が失われる事件が起きた時、しでかした者に対し、「殺してしまえ」「こんな奴は死刑だ」なんて声が上がったりする。
犯人の命を奪えば、遺族らの憎悪や悲哀は一時的に治まるかもしれない。
それでも、事件によって生じた損失は、決して埋められない。犠牲になった者も、処罰された者も、遺された者も、誰も救われない。みんな不幸。
起きた事件を無かったことにはできないし、失われた命を取り戻せるはずもない。
けれど、これ以上に人命を奪うことなく、関係者たちの気持ちを沈め、前向きな“納得”を引き出す手立てはないものか?
本書の主人公・又市は、その方法を求めて苦悩し、あがいて、ある奇策を見出す。
それこそが妖怪です。
現代社会にもいるのかなぁ…♪