ある研修会に参加した際、自分の考えを改める機会を得ました。
ベテランの社会福祉士による、権利擁護や契約支援についての講話がきっかけです。
利用者の金銭管理を支援することの是非に、話が及びました。
「グループホームなどの施設側に、金銭管理を代理する権限は本来ありません。成年後見など外部の制度を活用すべきでしょう」と講師。
以前ここに書いた記事「正答の無い支援を考え続ける」のことを、私は思い出しました。
さまざまな知見に触れながら
アニメのキャラクターがプリントされた服を買いたがる、60歳代の男性利用者。買い物に同行した際の支援について、虐待に絡めて考えてみるというワーク。
私は「社会生活を営むためには年齢にふさわしい服も必要」と思い、利用者に納得してもらった上で、好みの服を購入する一方で、年齢にふさわしい服も購入するという支援を考えました。
ですが、私の考えた支援では、買い物を支援する者が、契約も支援することになります。
支援者が行動援護と金銭管理を一緒に行なえば、利用者の束縛につながりかねません。買い物という契約に関わる判断は、後見制度や日常生活自立支援事業に携わる支援者に任せるべきなのです。…私は考えが不充分でした。
講話の後、顔見知りのグループホームの施設長が、私に話しかけてきました。
「権利擁護の大切さは分かるんですけど、利用者さんの買い物を支援しながら、いちいち補助人さんとかに連絡して確認する訳にもいかないし。実際に行なうのは難しいですよね」
確かに難しい。それでも、実際に行なうとすれば? 60歳代男性の服を買いに行くという、先の事例では、どうなるでしょう?
例えば日常生活自立支援事業を利用するとして、その担当者に前もって事情を説明しておき、買い物でのルールを利用者と決めてもらう。そのルールに従い、買い物を支援する。…とりあえず私は、このように考えてみました。
考えてはみたものの、“正答”と言えるのかどうかは分かりません。
さまざまな知見に触れながら、考え続けるばかりです。
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