エッセイ 読ませるリレーエッセイ 才人の個性激突 『「芸」と「能」』 酒井順子と清水ミチコのリレーエッセイ。 タイトルから受ける印象は、芸能界周辺の話題みたいな。 にもかかわらず、両者とも書きたいものばかり書いてる印象。 しかも、リレーしてるようでリレーしてない。 相手... 【続きを読む】 2016.01.13 エッセイ天竺堂の本棚
天竺堂の本棚 軽妙な短編集 “チャンプ本”の思い出も 『バールのようなもの』 清水義範の短編小説集。 エッセイ風あり、パスティーシュ(文体模倣)あり、人間観察に基づいた業界裏話(?)あり、どれも軽妙な12編。 表題作は、テレビや新聞の事件報道にしばしば登場する「バールのようなも... 【続きを読む】 2016.01.11 天竺堂の本棚小説
マンガ 危機と闘い ホコロビ上回る勢いが 『ジョジョの奇妙な冒険7 スティール・ボール・ラン』(1~24) 全巻を一気読みすると、未回収なままの伏線とか、登場人物の扱いの変化とか、細部の不自然さとか、コジツケ気味の理屈とか、そんなところに気が付いてしまう。 けれど、たくさんの不出来を補って余りある、物語の勢... 【続きを読む】 2016.01.06 マンガ天竺堂の本棚
マンガ 若き乱蔵が台湾へ 描き手の“愛情”全編に 『闇狩り師 キマイラ天龍変』 夢枕獏の2大伝奇シリーズ『闇狩り師』『キマイラ』の外伝的マンガ。 青年時代の九十九乱蔵は、台湾でキマイラと闘ったことがある…というエピソードを膨らませた意欲作。 キマイラの造形とか、チャクラの働きを視... 【続きを読む】 2015.12.23 マンガ天竺堂の本棚
天竺堂の本棚 ユニークな視点や枠組み 言語化も巧みな評論集 『街場の憂国論』 内田樹の評論集。 日本が抱える諸問題を、ユニークな視点や枠組みで捉える。グローバル化やリバタリアンには批判的。 農業でも何でも国際競争力をつけるために生産性を上げようとすれば、人件費の削減は避けられな... 【続きを読む】 2015.12.22 天竺堂の本棚知識・教養
天竺堂の本棚 読み込める魅力 祝祭日にちなむ短編集 『ジーン・ウルフの記念日の本』 アメリカの祝祭日にちなんで編まれた18の短編集。 いささか奇妙な物語が“前景”にあって、同時に“後景”では重要な何かが進行してる…というウルフならではの話が多いんだけど、本書は比較的読みやすい部類かも... 【続きを読む】 2015.12.13 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 ミステリ作家の機知 学生との問答集 『臨機応答・変問自在』 ミステリ作家の森博嗣による、ユニークな問答集。 名古屋大工学部の助教授だったころ、授業の一環として学生たちから質問を募り、これらにいちいち回答してたそうな。 その中から、読み物として楽しめる問答を抜き... 【続きを読む】 2015.12.01 天竺堂の本棚知識・教養
その他 陰々滅々の絵本 奇妙な安らぎが 『おぞましい二人』 しばしば起きる幼児虐待の事件。 詳細を知ると心が潰れそうになるし、報道の見出しが目に入るだけでも不快になる。 なのに、2児の親である自分の中には、虐待をしでかした連中に通じるものが、確かにある。事件の... 【続きを読む】 2015.11.20 その他天竺堂の本棚
天竺堂の本棚 旧ソ連の暗黒史に重なる 舞踏教師の生涯 『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里の長編小説。 著者がモデルと思われる日本人女性が、少女時代を過ごしたプラハのソビエト学校で出会った舞踊教師の消息をたずね、民主化後のモスクワをさまよう。ミステリ仕立ての物語。 教師が歩いた波乱... 【続きを読む】 2015.11.12 天竺堂の本棚小説