小説

天竺堂の本棚

閉塞感や諦念 ブッ飛ぶ最終章 『橋を渡る』

ネットや新聞、テレビなどで、私たちは日々、世界中のさまざまな出来事を知る。報じられるのは、戦争やテロリズム、人権問題、環境破壊、自然災害などなど。 そんな大ごとの前には、自分のささやかな行動なんか無意... 【続きを読む】
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中国史の闇描く 重厚なミステリ 『北京から来た男』(上・下)

ヘニング・マンケルの社会派ミステリ。  スウェーデンの寒村で起きた大量虐殺事件が、中国の近・現代史につながっていくという、壮大なスケール。 なんだけど、事件をめぐるサスペンスよりも、改革開放路線を猛進... 【続きを読む】
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精巧なカラクリ人形 命や魂は…? 『機巧のイヴ』

ニコニコ笑ってるように見えて、内心は激怒してたり。深く考えてるように見えて、実は何も考えてなかったり。 自分がそうだから、他人も似たようなものだろう。人間がそうだから、機械も似たようなものだろう。  ... 【続きを読む】
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巧妙で意地悪 毒の利いたミステリ 『ロートレック荘事件』

筒井康隆のミステリ。 ロートレック作品の蒐集家の別荘で起きた連続殺人事件を描く。  ロートレックと同様、主人公は身体障害による低身長の男性として設定されてる。 この主人公の存在が、物語に奇妙な違和感を... 【続きを読む】
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舞台そのままに 主人公が交代へ 『あやかし草子』

宮部みゆきの人気シリーズ第5巻。  シリーズに大きな変化が到来し、これまでの主人公というか狂言回し役が“引退”してしまう。次巻からは別の人物が主役を務める模様。 そこに至る過程が少々唐突にも思えるけど... 【続きを読む】
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幻想的で寓話的で 狂気じみた魅力も 『十三の物語』

初めて読んだスティーヴン・ミルハウザー。  全13話の短編集。「オープニング漫画」と題する開幕編と、「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」の3部各4編で構成されてる。  屋根裏部屋の暗闇にひそむ少... 【続きを読む】
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大戦に負けた米国 架空史の世界で  『高い城の男』

学校給食にパンと牛乳が出る。宇宙戦艦ヤマトがデスラー総統をやっつける。「UCLA」のトレーナーが流行する。英語はできないのにカタカナ言葉は使いたがる。 …第二次世界大戦に敗れた影響が、日本社会のいろん... 【続きを読む】
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第二次外惑星動乱 過酷な消耗戦へ 『工作艦間宮の戦争』

谷甲州によるSF「航空宇宙軍史」の新シリーズ2作目。  第二次外惑星動乱の勃発までを描いた『コロンビア・ゼロ』の続編。 秘密裏に技術革新を進めてた外惑星連合の新造艦が、航空宇宙軍の根拠地への奇襲攻撃を... 【続きを読む】
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汚染された近未来 鋭い文明批判 『錆びた太陽』

恩田陸の近未来SF。  舞台となる日本は、原発事故によって国土の2割が居住不能になり、ゾンビみたいな連中が徘徊してる。 広大な汚染区域を監視するアンドロイドたちの前に、国税庁から派遣されてきたという元... 【続きを読む】
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