天竺堂の本棚 閉塞感や諦念 ブッ飛ぶ最終章 『橋を渡る』 ネットや新聞、テレビなどで、私たちは日々、世界中のさまざまな出来事を知る。報じられるのは、戦争やテロリズム、人権問題、環境破壊、自然災害などなど。 そんな大ごとの前には、自分のささやかな行動なんか無意... 【続きを読む】 2018.10.11 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 中国史の闇描く 重厚なミステリ 『北京から来た男』(上・下) ヘニング・マンケルの社会派ミステリ。 スウェーデンの寒村で起きた大量虐殺事件が、中国の近・現代史につながっていくという、壮大なスケール。 なんだけど、事件をめぐるサスペンスよりも、改革開放路線を猛進... 【続きを読む】 2018.09.05 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 精巧なカラクリ人形 命や魂は…? 『機巧のイヴ』 ニコニコ笑ってるように見えて、内心は激怒してたり。深く考えてるように見えて、実は何も考えてなかったり。 自分がそうだから、他人も似たようなものだろう。人間がそうだから、機械も似たようなものだろう。 ... 【続きを読む】 2018.09.04 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 巧妙で意地悪 毒の利いたミステリ 『ロートレック荘事件』 筒井康隆のミステリ。 ロートレック作品の蒐集家の別荘で起きた連続殺人事件を描く。 ロートレックと同様、主人公は身体障害による低身長の男性として設定されてる。 この主人公の存在が、物語に奇妙な違和感を... 【続きを読む】 2018.08.24 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 舞台そのままに 主人公が交代へ 『あやかし草子』 宮部みゆきの人気シリーズ第5巻。 シリーズに大きな変化が到来し、これまでの主人公というか狂言回し役が“引退”してしまう。次巻からは別の人物が主役を務める模様。 そこに至る過程が少々唐突にも思えるけど... 【続きを読む】 2018.08.17 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 幻想的で寓話的で 狂気じみた魅力も 『十三の物語』 初めて読んだスティーヴン・ミルハウザー。 全13話の短編集。「オープニング漫画」と題する開幕編と、「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」の3部各4編で構成されてる。 屋根裏部屋の暗闇にひそむ少... 【続きを読む】 2018.08.01 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 大戦に負けた米国 架空史の世界で 『高い城の男』 学校給食にパンと牛乳が出る。宇宙戦艦ヤマトがデスラー総統をやっつける。「UCLA」のトレーナーが流行する。英語はできないのにカタカナ言葉は使いたがる。 …第二次世界大戦に敗れた影響が、日本社会のいろん... 【続きを読む】 2018.06.18 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 第二次外惑星動乱 過酷な消耗戦へ 『工作艦間宮の戦争』 谷甲州によるSF「航空宇宙軍史」の新シリーズ2作目。 第二次外惑星動乱の勃発までを描いた『コロンビア・ゼロ』の続編。 秘密裏に技術革新を進めてた外惑星連合の新造艦が、航空宇宙軍の根拠地への奇襲攻撃を... 【続きを読む】 2018.06.11 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 汚染された近未来 鋭い文明批判 『錆びた太陽』 恩田陸の近未来SF。 舞台となる日本は、原発事故によって国土の2割が居住不能になり、ゾンビみたいな連中が徘徊してる。 広大な汚染区域を監視するアンドロイドたちの前に、国税庁から派遣されてきたという元... 【続きを読む】 2018.06.01 天竺堂の本棚小説