天竺堂の本棚

イタい男女の言動 巧みに描く中編集 『木に登る王』

スティーブン・ミルハウザーの中編集。 全3話いずれも、男女の愛憎っつーか、浮気に絡んだ三角・四角関係の物語。  ニンゲンは愚かで弱いから、惨めな自分に真正面から向き合うなんて、そうそうできはしない。 ... 【続きを読む】
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理不尽と苦悩 乗り越えた家族 『重力ピエロ』

本書の主人公には、特殊な弟がいる。  ちなみに私にも、特殊な弟がいる。 私の弟はダウン症。偶発的な染色体異常で、700分の1ほどの確率で発症するらしい。ダウン症は知的障害などを伴うため、クジなら“ハズ... 【続きを読む】
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遠大すぎるロマン SF大作の開幕編 『三体』

ノーベル賞を受賞した日本の科学者たちは、みんな口ぐちに基礎研究の大切さを力説してる。 ネットの端々で「今日のコンピューターは今より1世紀ほど前に行われた数学の基礎研究なしには成立し得ないが、当時はその... 【続きを読む】
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些細だけど奇妙な 読ませる7編 『私たち異者は』

スティーブン・ミルハウザーの短編集。全7編。  個人的には最初の2編が良かった。 1話目「平手打ち」は、閑静な街に男が出没し、老若男女へ無差別にビンタを喰らわせるという話。この不条理な事件に、いろんな... 【続きを読む】
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主人公が出くわす イヤな人々 『昨日がなければ明日もない』

どうにも“波長”が合わない、つい苦手意識を覚えてしまう…という人がいる。 できれば関わり合いになりたくないし、関わるとしても最低限の接触で済ませたい。分かり合おうと歩み寄っても、結局は無駄に疲れるだけ... 【続きを読む】
施設長の学び!

『誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか』

ウチの施設には飲食店が併設されています。運営スタッフは、利用者さんたちと、彼らを支援する職員です。 障害のある利用者さんたちは、能力も経験も意欲も異なりますし、心身の調子が不安定な人も少なくありません... 【続きを読む】
その他

共同プロジェクト 自宅で実践  『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』

お金を払えば何でも手に入る…訳ではない。  例えば学力。 それなりにお金を出せば、学習塾にかよったり、家庭教師を雇ったり、参考書や問題集を入手することはできる。 けれど、それらに100万円を支払ったか... 【続きを読む】
ノンフィクション

政治的な思惑 学校教育の裏側に 『掃除で心は磨けるのか』

現在の公教育がはらむ危うさを指摘した本。 著者は全国紙の記者。取材や実体験を通し、教育行政が何を目指そうとしてるのかを探る。  個人的に興味深かったのは、甲南大の田野教授による「ファシズムの体験学習」... 【続きを読む】
天竺堂の本棚

終幕へ大乱戦 畳まれる大風呂敷 『天冥の標10 青葉よ、豊かなれ』(1~3)

小川一水の大河SFシリーズ完結編。  さまよう人類たちの行く先では、さまざまな星間文明がにぎやかに交戦中。 そんなところへ割り込みつつ、人類同士の抗争もエスカレート。ややこしい事態のまま、終幕へ向けて... 【続きを読む】
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