天竺堂の本棚 ラジオを通じ 交錯する人生 『すべての見えない光』 どこか遠くから電波に乗って飛来する声や音楽を、雑音の中からすくい取るラジオ。ツマミをいじってると、ノイズが突然、耳慣れない異国語の歌に変わってビックリしたりして。このIT社会では古くさいのかも知れない... 【続きを読む】 2017.01.23 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 オトコの願望 実現してくれる探偵 『プレイバック』 こちらを見下そうとしてくる尊大な相手を、鋭い皮肉でヤリ込めたい。 拳銃を突き付けられたら、「あくびが出そうだ」と余裕カマしたい。 大金の小切手をチラつかせられても、無関心っぽく振る舞いたい。 損得抜き... 【続きを読む】 2017.01.16 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 借金取り立てSF!? ブッ飛んだホラ話 『スペース金融道』 SF版『ナニワ金融道』みたいな、宮内悠介の異色作。 遠未来の植民惑星「二番街」を舞台に、「バクテリアだろうとエイリアンだろうと、返済さえしてくれるなら融資をする」という方針の惑星間企業「新生金融」の... 【続きを読む】 2017.01.11 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 明治の書舗で “本”めぐるサスペンス 『書楼弔堂 炎昼』 京極夏彦のオムニバス短編シリーズ第2弾。 本が好きな人が、本が好きな人へ向けて書いてるような物語。 本とは何なのか? 本を読むことで何が得られるのか? …そんなモロモロが、物語に織り込まれてる感じ。... 【続きを読む】 2017.01.06 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 「大菩薩峠」をリブート 夢枕版のチャンバラ 『ヤマンタカ』 夢枕獏による、中里介山『大菩薩峠』のリブート作。 主人公は、新選組副長の土方歳三。京都に出立する以前、薬の行商人をしていたころ。 自分の若さを持て余してる歳三が、「音無しの構え」を使う魔剣士・机龍之... 【続きを読む】 2017.01.04 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 ピアニストの登竜門 4人の挑戦描く 『蜜蜂と遠雷』 恩田陸の音楽小説(?)。 ピアニストの登竜門として知られる国際コンクールが舞台。異なる立場、異なる思惑、異なる才能を持ったコンテスタント男女4人、それぞれの挑戦を描く。 ピアノが奏でる楽曲を文章で... 【続きを読む】 2016.12.27 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 怪異と不条理の奇譚集 『夜行』 森見登美彦のオムニバス的な奇譚集。 10年ぶりに集まった5人の男女が、奇妙な体験を語り合う。 エピソードは多様だけど、失踪した女友達や、夭逝した銅版画家による連作「夜行」など、共通の背景がある。 ... 【続きを読む】 2016.12.25 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 人生俯瞰する主人公 諦念漂う名作SF 『スローターハウス5』 カート・ヴォネガットの自伝的(?)SF。 時間の流れから解き放たれた主人公が、みずからの人生をランダムに俯瞰する。 第二次大戦に出兵して猛爆撃に遭ったり、思いがけず大富豪になったり、奇妙な異星人に拉... 【続きを読む】 2016.12.16 天竺堂の本棚小説
天竺堂の本棚 異能の主人公 読ませるサスペンス 『脳男』 連続爆破事件の爆弾魔を追い詰めていた警官隊の前に、突如現れた青年・鈴木一郎をめぐるサスペンス。 脇役が不自然なほどに個性的だったり、設定や描写の細かいところと雑なところの落差が大きかったり。 何とも... 【続きを読む】 2016.12.13 天竺堂の本棚小説