小説

天竺堂の本棚

謎の“商人” 富次郎の前に 『魂手形』

宮部みゆきのライフワーク的な伝奇シリーズ、その第7巻。 百物語の聴き手である富次郎は、聴き終えた物語にちなんだ絵を描くことを自分に課してる。 モチーフの選択が毎回、ナナメ上あたりにズレてるように思える... 【続きを読む】
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人間たち受け容れる 人工親友の健気さ 『クララとお日さま』

カズオ・イシグロのSF小説。 ノーベル文学賞の受賞後第1作。 舞台は近未来らしい社会で、子供たちの成長に寄り添うAF(人工親友)のクララが主人公。人工知能を搭載した人間型ロボットみたいなもので、太陽光... 【続きを読む】
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奇妙なユーモア 針小棒大から狂乱へ 『かつどん協議会』

カツ丼において最も重要な要素は何か? 豚肉や玉子や米などの業界団体の代表たちが集まり、屁理屈やプライドを戦わせるという、奇妙な中編小説が表題作。 東海林さだおとか久住昌之に通じる針小棒大なテイストなん... 【続きを読む】
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硬派テイスト 異色のミリタリーSF 『星系出雲の兵站』(1~4)

兵站を前面に打ち出してる、異色のミリタリーSF。 遠未来の植民星系を舞台にした、未知なる存在の侵略行為に対抗する、軍事組織や統治機構での群像劇。 戦争での補給や備蓄管理などの後方支援が兵站で、作中では... 【続きを読む】
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どんでん返し 相棒に降りかかる 『その裁きは死』

面白いミステリーにどんでん返しは付きモノ。 そして、探偵に相棒がいる場合、どんでん返しは相棒へ降りかかる。 なぜならば相棒である“ワトソン役”は、読者の側に立って、事件の謎に翻弄されたり、事件の真相に... 【続きを読む】
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地方都市での事件 新米刑事と挑む 『冬の狩人』

新宿警察署のベテラン刑事・佐江が活躍する、大沢在昌の“狩人シリーズ”。 今回は関東近隣の地方都市を舞台に、地元企業のスキャンダルに絡む事件へ、新米刑事と共に挑んでいく。 新聞連載だったせいか、一節(一... 【続きを読む】
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青年コンビ活躍 連作時代劇 『きたきた捕物帖』

宮部みゆきの連作時代劇。 帯にあった「謎解き×怪異×人情」は実際そのとおりで、絶妙なブレンド具合でもって読ませます。 タイトルの「きたきた」が暗示してる、岡っ引き見習いだった朴訥な主人公・北一と、奇妙... 【続きを読む】
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主役より忙しい? 相棒役の著者 『メインテーマは殺人』

シャーロック・ホームズの友人・ワトソン博士とか、明智小五郎の助手・小林少年とか、バットマンの弟子・ロビンとか…。 彼ら“相棒”は意外と忙しい。 事件の謎に対して強引な憶測を展開し、物語の行方をミスリー... 【続きを読む】
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ケレン味あふれる将棋ミステリ 『死神の棋譜』

とても現実とは思えない、常識では考えられない…そんな殺人事件が、現実的で常識的な決着を迎えるというのが、ミステリーのひとつの定形だろう。 本書は奥泉光による、将棋界を舞台にしたミステリー。 矢文で届け... 【続きを読む】
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