天竺堂の本棚

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シリーズの転機? 主人公に変化 『三鬼』

怪談話のオムニバス「三島屋変調百物語」シリーズの4巻目。 残酷な物語には切なさが、トボケた物語には哀愁が、中編4話それぞれに異なる趣があって読ませます。 特に4話目「おくらさま」は、主人公の心境に変化... 【続きを読む】
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ラジオを通じ 交錯する人生 『すべての見えない光』

どこか遠くから電波に乗って飛来する声や音楽を、雑音の中からすくい取るラジオ。ツマミをいじってると、ノイズが突然、耳慣れない異国語の歌に変わってビックリしたりして。このIT社会では古くさいのかも知れない... 【続きを読む】
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オトコの願望 実現してくれる探偵 『プレイバック』

こちらを見下そうとしてくる尊大な相手を、鋭い皮肉でヤリ込めたい。 拳銃を突き付けられたら、「あくびが出そうだ」と余裕カマしたい。 大金の小切手をチラつかせられても、無関心っぽく振る舞いたい。 損得抜き... 【続きを読む】
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借金取り立てSF!? ブッ飛んだホラ話 『スペース金融道』

SF版『ナニワ金融道』みたいな、宮内悠介の異色作。 遠未来の植民惑星「二番街」を舞台に、「バクテリアだろうとエイリアンだろうと、返済さえしてくれるなら融資をする」という方針の惑星間企業「新生金融」の社... 【続きを読む】
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明治の書舗で “本”めぐるサスペンス 『書楼弔堂 炎昼』

京極夏彦のオムニバス短編シリーズ第2弾。 本が好きな人が、本が好きな人へ向けて書いてるような物語。 本とは何なのか? 本を読むことで何が得られるのか? …そんなモロモロが、物語に織り込まれてる感じ。 ... 【続きを読む】
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「大菩薩峠」をリブート 夢枕版のチャンバラ 『ヤマンタカ』

夢枕獏による、中里介山『大菩薩峠』のリブート作。 主人公は、新選組副長の土方歳三。京都に出立する以前、薬の行商人をしていたころ。 自分の若さを持て余してる歳三が、「音無しの構え」を使う魔剣士・机龍之介... 【続きを読む】
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ピアニストの登竜門 4人の挑戦描く 『蜜蜂と遠雷』

恩田陸の音楽小説(?)。 ピアニストの登竜門として知られる国際コンクールが舞台。異なる立場、異なる思惑、異なる才能を持ったコンテスタント男女4人、それぞれの挑戦を描く。 ピアノが奏でる楽曲を文章で伝え... 【続きを読む】
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怪異と不条理の奇譚集  『夜行』

森見登美彦のオムニバス的な奇譚集。 10年ぶりに集まった5人の男女が、奇妙な体験を語り合う。 エピソードは多様だけど、失踪した女友達や、夭逝した銅版画家による連作「夜行」など、共通の背景がある。 現実... 【続きを読む】
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人生俯瞰する主人公 諦念漂う名作SF 『スローターハウス5』

カート・ヴォネガットの自伝的(?)SF。 時間の流れから解き放たれた主人公が、みずからの人生をランダムに俯瞰する。 第二次大戦に出兵して猛爆撃に遭ったり、思いがけず大富豪になったり、奇妙な異星人に拉致... 【続きを読む】
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