小説

天竺堂の本棚

往年の“ウルフガイ” 彷彿させるヒーロー 『月の王』

伝奇アクションの古典的名作である平井和正『ウルフガイ』作品群の、インスパイアみたいなオマージュみたいな、活劇たっぷりの娯楽小説。 主人公は驚異的な身体能力の持ち主で、月齢に合わせて強くなるという、その... 【続きを読む】
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読順で変わる印象 意欲的な短編連作 『N』

道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720通りの読み味が楽しめ... 【続きを読む】
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イルカのような登場人物が… 『カラスの親指』

詐欺師たちのスリリングなコン・ゲームが展開する本書には、「イルカのような」と描写される人物が登場する。 ツルリとした顔、優しそうでヤンチャそうな目、ツンとした唇にはいつも笑みが浮かんでる…みたいな感じ... 【続きを読む】
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美しくも厳しい…湿地で生きる少女 『ザリガニの鳴くところ』

ザリガニが鳴くのかどうか、私は知らない。 小学生のころ、理科室の水槽で飼ってたアメリカザリガニの世話係をやったことがあるけど、鳴き声は聞けなかった。 本書によると、ザリガニの鳴くところは「茂みの奥深く... 【続きを読む】
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思索に沈ませる 傑作ぞろいの短編集 『あなたの人生の物語』

子供が親よりも先に死んでしまう“逆縁”は、重い親不孝とされる。 立派な偉人に育ってくれそうにはないし、むしろ世間に迷惑をかける愚物で終わるかも知れない。それでも、我が子の死に、親として向き合わなければ... 【続きを読む】
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遠野舞台に描き出す 怪異のメカニズム 『遠巷説百物語』

お化けや妖怪などの、不可思議なものたち。 現実に在るとは思えない。けれど、目撃や遭遇などの体験談が少なからず伝えられてるからには、まったくのデタラメ、絵空事というわけでもなさそう。 これはどういうこと... 【続きを読む】
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犯罪捜査の現場 緊迫感みなぎる短編集 『第三の時効』

やたらと仕事ができて、自分にも他人にも厳しい……そんな人材がいる職場は、成績は上がるだろうけど、一緒に働かなきゃならない身としてはなかなかにツラい。 そこが警察みたいな、仕事自体が“社会正義”を体現し... 【続きを読む】
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“納得”引き出す奇策 それが妖怪 『前巷説百物語』

罪なき人命が失われる事件が起きた時、しでかした者に対し、「殺してしまえ」「こんな奴は死刑だ」なんて声が上がったりする。 犯人の命を奪えば、遺族らの憎悪や悲哀は一時的に治まるかもしれない。 それでも、事... 【続きを読む】
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道具も舞台も…何かとデカいSF短編集 『円』

SF大作『三体』著者による短編集。全13話。 表題作は、不死の秘密を求める始皇帝が、秦の大軍勢でもって“人間コンピューター”を創り出すという物語。 この他、シロナガスクジラを操って麻薬密輸に及ぶ話とか... 【続きを読む】
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