端正にして不穏な気配が 『十三の物語』

 初めて読んだスティーヴン・ミルハウザー。

 全13話の短編集。「オープニング漫画」と題する開幕編と、「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」の3部各4編で構成されてる。

 屋根裏部屋の暗闇にひそむ少女に恋をし、見えないまま逢瀬を重ねる少年の物語とか。どこかの王様に仕える細密細工士が、微細を究めんとするあまり、誰にも視認できないミニチュア作りに没頭してしまう物語とか。映画が誕生した裏で、カンバスから絵画を飛び出させる発明が、ひっそり忘れられていく物語とか。

 多彩なんだけど、それぞれの話の中に、“あるのに見えない”や“エスカレートする事態”や“覆い隠すこと”や“徹底的な作り込み”などなど、似通ったテーマやモチーフが散見される。
 独立した短編たちが、ゆるい関連性でもって一冊にまとまってる印象。

 幻想的で寓話的で、端正な筆致なのに、狂気じみた不穏な気配を漂わせてる。
 何ともクセになりそうな、奇妙な魅力があります♪

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