荘厳にしてドロドロな 『零號琴』

 飛浩隆のSF大作。

 謎の知性体「行ってしまった人たち」が残した文明遺産のおかげで、人類が外宇宙へ進出してる未来世界が舞台。
 惑星・美縟に埋もれてた超巨大楽器・美玉鐘が復元され、開府500年の記念祭で鳴らされることになった。70万個もの鐘から成るカリヨンで、演奏には奏者1000人が要るというシロモノ。
 この美玉鐘や美縟にまつわる不気味な謎に、「行ってしまった人たち」の楽器を専門に扱う特種楽器技芸士の主人公が挑む。

 …なんて粗筋だけでは不充分すぎる、えらく濃密な物語。

 音楽を彫刻になぞらえて表現するという、読み手の想像力を試すような描写とか。ジャパネスクな風情に、どっかで見たような少女戦隊が絡んだりする、キッチュな豪華さとか。
 真面目なんだか茶化してるんだか分からないうちに、物語は荘厳にしてドロドロなカタストロフィへとなだれ込んでいく。

 リーダビリティは高いし、娯楽小説として面白く読める。
 だけど、それだけに終わらない多彩さと奥行きがありました♪

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