夢がもたらす害悪 『ドリーム・ハラスメント』

 夢がもたらす害悪を指摘してる本。
 ここでの「夢」とは「将来の願望」。本書の定義によると「当人にとって現時点では非現実的ながら、どうしても成し遂げたい事柄」。

 家庭や学校のオトナたちは、夢を持つことを子供に強要し、実現させるべく一途に努力するよう求める。なのに一方では、職業選択の材料へと夢を矮小化させ、“分相応”な就職先に押し込めようとする。

 大学職員である著者は、「夢が持てない」「夢に向けて頑張れない」と苦悩する若者を多く見てきたそうで、いろんな文献やデータを援用した主張には説得力がある。

 とりわけ興味深かったのは、学校教師が生徒を夢へと駆り立ててしまう、その背景。
 教師になるには教員免許を取得しなければならず、程度の差こそあれ誰もが能動的・内発的に国家試験を受けてる。
 つまり教師は「なりたい」という夢をかなえた経験の持ち主。半面、多くは学校しか就業経験のない人びとでもある。
 なので、善意と確信でもって「夢を持とう」「努力しよう」と教師は指導してしまう。何らかの動機を生徒に要求し、努力させようとしてしまう。
 悪気がないだけに、かえって対処が難しいぞ。

 著者は「近くを見よ」として、むしろ手近の興味関心や、目前の課題などに積極的に取り組むことを提案。遠くに目標を定めるのではなく、足元で成功体験を重ねていく「帰納的な生き方もある」と述べてる。
 頑張る理由を探すのではなく、とりあえず今を頑張るという。

 夢をかなえられなかった身としては、それでも何とかやってこれてる身としては、「そうかもなぁ」とうなずくばかりでした♪

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